学校の部活でトランペットを始めて・大人の長い趣味としてトランペットに興味を持って、レッスンに来られる生徒さんは楽器を持っていないかたがほとんどで、楽器購入の相談を受けることも多いです。ですので、今日は始めたばかりの時期の楽器の選び方について少しお話をしてみようと思います。
・価格帯について
トランペットは、管楽器の中では価格の安い楽器です。もちろんすごく高い楽器もありますが、プロでも20万後半~30万円代の楽器を使用している方は多いです。(ただし、コルネット・フリューゲル・C管・Es管・ピッコロやミュート類・マウスピースなどを揃えようとし始めるとトータルの金額は上がるのですが ^^; )
そういったこともあって価格の分布も、5~10万円程度のエントリークラスの上は20万円弱~といった感じで、10~20万円代のモデルというのはあまり選択肢に入ってきません。ある程度吹けて、楽器を買う方はプロ・アマ関わらず20~30万円代のものを選ぶ方がほとんどではないでしょうか。
ですので、初めて楽器を選ぶ方はまず、エントリーモデルを買うかそれ以上のモデルを買うかを選びます。
・どちらを選ぶか
小~中学校のお子さんが始める場合、最初はエントリークラスの中から選んでよいと思います。大人の方は予算によって選ぶとよいと思います。
大人の生徒さんの傾向として、教室には
①最初から上位モデルを買う方
②エントリーモデルを使っている方
③エントリーモデルから上位モデルに買い換える方
がいらっしゃいますが、③の方は当然としても①の方も長く続ける方が多い気がします。②の方の場合は様々な方がいて、ある時思い立って、買い換える方もいれば、辞められる方もいらっしゃいます。これは、最初はエントリーモデルを選ばれる方が多く、母数が多いのでいろんな方がいるのであまり気にする必要はないと思います。①、③の方の場合、それだけ「トランペットにハマっている」もしくは「覚悟というか、スイッチを自分で入れている」ということなのかもしれません。人によって継続するためのコツは様々ですので、予算と併せて、ご自身にあった始め方、続け方を考えてで決めていただくということなのかな思います。
エントリークラスと上位モデルの分かりやすい大きな違いは「音・響き」と「反応の良さ」です。
トランペットは唇の振動をマウスピースを経て楽器全体で響きを作りますが、エントリークラスは上位モデルに比べるとメガホンのようなイメージでしょうか、「マウスピースで鳴らした音をそのまま増幅させて鳴らしている」ような印象があります。なので、「マウスピースで音痴に鳴らすと楽器もそのまま音痴に鳴る」。上位モデルと比較してですが、そういう傾向は強まると思います。
上位モデルは、各メーカーの「音・響き」が強く出てきます。またエントリーモデルと比較してですが、「狙った音を当てやすい・出したいタイミングで出てくれる」ようにもなります。
マウスピースの音を増幅するのではなく、楽器自体が響く、響きが空間に伝わっていく感じでしょうか。エントリーモデルを使っていた方で、上位モデルが欲しくなり、買い替えたところ、いままでできなかったことができるようになった方もいます。逆に吹くためにある程度パワーが必要な楽器もあったり、家電などとちがい、明確な数値だけでは測れないところが悩ましいところではあるのですが…。
・エントリーモデルはどんなメーカーがあるのか。
エントリーモデルもいろいろなメーカーがあります。選ぶ方が多いところだと、ヤマハ、マルカート、ジュピター、ベッソンといったところでしょうか。経験上5万円~10万円あたりのもので選んでいただくとある程度品質も保証されるような気がします。
・どうやって選んだらいいのか。
できれば習っている先生に、選んだ経験のある方と一緒にお店に行って「実際に吹いて」選ぶのがよいと思います。楽器は複数のパーツからできていて、金属の板を機械や手で曲げたり叩いたり、溶接したり…の工程を経て作られるので、どうしても同じモデルでも個体差があります。ヤマハは品質のバラ付きが少ないと言われますが、それでも1本1本音も吹き心地も違います。初心者の方だけだと音をだすので精一杯でその違いが分かりづらいので、できれば、違いが分かる状態のなかで選びたいです。
服でも、あまり主体性の無い方に似合っていないのに「似合ってますよ」とすすめる店員さんがいるように、残念な話ですが楽器屋さんでも、違いが分からない人・知識の乏しいだけで行くと、分かる人が選ばなかった楽器(モデルは一緒でも)を出してくる楽器屋さんもなくはないです…。
・ネットの格安トランペットはどう???
格安であっても、有名メーカーのものであっても、個体差のことを考えれば可能な限り、お店で実際に吹いて、比較してから買うべきだと思います。ネットで1万円前後で買える格安トランペットは僕も1本持っているのですが、その楽器でいえば削りだしの甘さ、溶接の雑さ、塗装の薄さなどがみられ、すこし注意しながら扱って、1~2年くらいで買い替えのタイミングが来る印象でした。全てがそういう楽器なのかはわかりませんが、吹いて選ぶことができないという点からみても、「長く付き合っていく楽器」として購入するのであれば、選択肢としては難しいのかな…と思いってます。
長々と書いてしまいましたが、なにを選ぶにしても楽器選びはワクワクしますし、練習のモチベーションも上がります。そんな楽器選びの参考になれば幸いです。