この時期のレッスンでは、アンサンブルコンテストに出るための楽譜を持ってくる生徒さんもいらっしゃいます。
僕の中高時代には記憶にないのですが、最近は”フレキシブル楽譜”といった種類のアンサンブル用の楽譜が出版されて、このタイプの楽譜に取り組む生徒さんもいらっしゃいます。
フレキシブル(柔軟性)をもった楽譜。例えば8人で演奏するということは決められているのですが、このパートはフルートで演奏してもいいし、クラリネットでもいい。このパートはトランペットでもサックスでもいい。のように、なんの楽器で演奏するか、厳密な指定がない曲として書かれています。
これはおそらく、吹奏楽連盟のアンサンブルコンテストは人数指定と、各学校からの出演可能団体数が決まっていることに対して、なるべく多くの生徒に出場してもらいたい、部員の担当楽器で出来る編成の楽譜を探すことが難しいなどのニーズから産まれた楽譜なのかなと思っています。
僕もなるべく多くの子どもたちに、アンサンブルの楽しさを経験してほしいと思うので、この楽譜の形式についてはあっていいのではとは思うのですが、反面、練習するのが大変そうだなとも思ってしまいます。
通常の楽譜であれば、作曲家はどの楽器にどの音を出させるかは決めているので、その楽器の特性「なにが得意でなにが苦手か」「いちばん豊かに響く音域はどこか」「どの楽器と混ざるとどんな響きになるか」など、知識と経験をもとに作曲家がある程度の品質のものになるであろうことを確信して書いているのですが、楽器を変えていいとなると、そういった「特性を活かす」「音をブレンドする」ことを奏者側でしっかりやらなければ通常の楽譜にくらべて、まとまりに欠ける演奏になる可能性も高くなってしまいます。
こういった部分まで考えて曲を選び、練習をするなら、それはとても良い勉強になるとは思うのですが、中高生では、やはりちゃんと指示を出す人がいなければ、これはなかなか大変だなぁとも思ってしまいます。