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あるサックス・プレーヤーとの想い出


東京はいろんな面白い人達があつまる都市だなと、田舎から出てきた僕はそう思うことが多い。

ミュージシャンも、アーティスティックなジャンル柄、実力的にはもちろんだけれども、人間的にもクセのある人達が多い気がする。

そんな音楽活動で出逢った人達の中で、少し年上のそのサックス・プレーヤーはとりわけクセの強烈な人だった。

楽器を演奏する人達が、お店に集まってお互いの腕試しを行ったり、情報交換をする「ジャム・セッション」。都内を中心にいろんなジャンルのセッションが日々行われている中、その人もファンク・セッションと呼ばれるジャンルのセッションに多く顔を出して演奏していた。

僕が出会ったのはあるバンドのメンバーとしてだったけれど、その人はバンドなどでなく、(年下の僕が言うのは偉そうかもしれないが)断然セッションで持ち味を発揮するタイプで、思いのたけをそのまま音にするような演奏は、いつも激しくて”ファンキー”だったと思う。(思いのまま演奏するので、時に吹きすぎて周りからひんしゅくを買ってしまう場面もあった。)

性格的にも良くも悪くもクセが強く、付き合いの短い僕が知っている限りでも出逢ってから2回はバイトをクビになっているし、お金が無いときでもお店にいい楽器があれば買ってしまったり、ここで書くのはやめようと思う話も少しあったり…(誰かを傷つけたり、法に触れるようなことはしていない)

まるで、音楽雑誌に書いていた昭和のミュージシャンの生活を地で行くような人だったけれど、音楽とサックスが好きで好きでしょうがないといった姿が、歳の上下関係なく「なんか嫌いになれない」とみんな思っていた。

そんな彼が、気になったプレーヤーを集めて作った大所帯のホーン・バンドがあった。

活動が長かったことも関係しているけれど、今はニューヨークを中心に活動している人、別な大人気バンドで活躍している人、有名アーティストのバックで演奏するような人から、日頃は別な仕事をしていたり、育児真っ只中な人もいたりと、構成メンバーもいろんな人が集まっていた。

説明が難しいけれど、「組合制」という方式をとり、ライブはその日予定があうプレーヤーが集まってやるという不思議なスタイルで、その人の性格と妙に辻褄が合っていて、面白い演奏をする団体だった。

僕もその人と出逢ったキッカケになったバンドが解散したタイミングで声をかけてもらい、活動を休止するまでの数年、そのバンドで吹かせていただいた。

彼は僕にとってサックス・プレーヤーと同時にバンド・リーダーでもあった。

そのリーダーの考えによってバンドが活動を数年前に休止していたのだが、去年くらいから体調を崩して入退院を繰り返しているというような話を聞くようになった。

今年に入って病院で久しぶりに会ったときにはかなり状態は悪化していて、いろんな人の支えもあったけれど、夏の終わりに旅立ってしまった。

お見舞いの時から、旅立った後までバンドメンバーが集まる事も多かったけれど、僕含めて、みんなどこか信じていないような、今でもひょっこり顔をだすんじゃないかといった気分だった。

先週、その人と交流のあった人が集まってのライブがあった。彼が演奏してきたバンドが順番に演奏して、僕たちは一番最後だった。

久しぶりに演奏する曲で、事前練習もできなかったけれど、ライブが始まれば当時そのままのノリがよみがえって、そしてその音の真ん中で彼も一緒にサックスをかき鳴らしているように思えたライブだった。


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