先日、傷心の友人を慰める会が開かれました。
話を聴いたり、自分の失敗談を話したりしました。
トランペットの曲で日本を代表する作曲家の故・武満徹さんによって書かれた「径」(みち)という曲があります。
ソロ・コンクールの課題曲になったりして、クラシック系トランペット吹きには少しおなじみの曲です。不思議な譜面と、静かで似た旋律が繰り返し出てくるので、昔は全然好きではなかったのです。
販売されている楽譜には曲想や解説はほぼ書かれていないのですが、武満徹さんの後期の作品は日本の回遊庭園が着想のひとつになっているそうで、この曲もおそらく回遊庭園の発想が使用されていると思います。
庭を散策してぐるっと1周したとき、戻ってきた場所は歩き始めた場所とちょっとだけ違う地点。
そこから見える景色も少し違う見え方をして、そしてまたぐるぐると散策をする。
ダイエット、失恋、安物買い…。同じような失敗を繰り返しがちですが、経験をすることで、ちょっとずつ視点が変化していく。
練習も、同じ練習を繰り返しながら、それでも、過去の自分とは違った視点、感覚で練習に取り組むことができたり。
同じところを回っているようで全く同じではないっていうのは深いテーマだなぁと思ってからは、少しこの曲の感じ方が変わりました。
いろんなものをぐるぐるする日々ですが、ちょっとずつポジティブな方向に変化していきたいもんですね、と、友人とは話をしたのでした。