難しい楽器
- e-music
- 4月29日
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更新日:6月16日
テレビの企画で芸能人が色々な楽器にチャレンジして数ヶ月後にみんなで演奏するような企画が時々ありますが、先日、そんな企画を見た生徒さんが「その様子をみてやっぱりトランペットって難しいと再認識しました。トランペットだけ他の楽器と上達の進度が違いました」と話していまして。
僕はその番組は見ていないのでなんとも判断ができないのですが、僕も過去に見たテレビの企画ではやはり「難しいよねぇ」という感想を持ちましたし、過去に生徒さんから「難しい楽器と思っていましたが想像より難しいです」と言われたこともあったりします。
とはいえ、吹奏楽の子たちもちゃんと曲を吹いていますし、一部の才能がある人以外は手も足も出ないということでもないわけです。
当教室でも初心者からスタートする方はいますし、何人もそんな方たちを見てきて思うのは「最初の坂を登るのがとにかく大変」ということです。そこを超えられれば継続して練習していける可能性が格段に上がる、そんな気がしています。
野球を例に考えても人間、飛んできたものを棒で打ち返すとか、高い精度で遠くまでものを投げるということは生まれてきた時には体にインストールされていないわけです。
それを素振りやバッティング練習、キャッチボールや投球練習でだんだん野球をできる体の動きを身につけていきます。
トランペットはその辺がとても難しい楽器で、唇を振動させて楽器に伝達させて音を出したりコントロールするのですが、唇に当てる楽器の部分がとても小さくて狭いうえに振動している部分は外から全く見えないので試行錯誤しながら覚えて直してを続けていくしかありません。
よく「正しい唇の形」という質問をいただくのですが、唇の形は人それぞれですし、先ほどの野球同様にトランペットを吹くための唇周りの筋肉の使い方は多くの人がトランペットを手にするまで経験しない動作です。説明しても最初はそのとおりに形はつくれませんし、始めたばかりのころは筋肉も繊細には動いてくれません。(小さい子の書く文字が大きくていびつなのは綺麗な形を覚えていないこともありますが、指で鉛筆を固定して、精密な直線やカーブを描く動きを指の筋肉が微調整できないことも理由です)
理屈を知ったうえで丁寧に練習を重ねながら唇や息のバランスを体に染み込ませていくことが必要で、この時期が飽きやすかったり、ストレスを感じやすいのだと思います。
逆にここを楽しんで乗り越えられるとトランペットの楽しさが見えてくるように思います。
当教室のレッスンでもそこはとても意識しているポイントなのでなるべく基礎もやりつつ曲も初めたての時からチャレンジしてもらっています。
春から吹奏楽部に入部してトランペットをはじめる子も多い季節ですが、焦らず少しづつ変わっていく音や唇の動きを楽しみながら少しずつ易しい曲にチャレンジしていければちゃんとだんだんそれまで吹けなかった曲も演奏できるようになると思います。

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