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アンブシュアの件

  • 2016年4月19日
  • 読了時間: 4分

春は新入部員が入ってきて、指導で学校に呼ばれることも少なくない季節です。 その際に 「◯◯くんの口の形は良くない気がするんです」 「あの吹き方を直させたいんですが」 というお話を先生からいただくことがあります。 教室の生徒さんからもトランペットを吹くときの唇の形(アンブシュア)に関しては たまに質問を受けることがあります。 この、「トランペットを吹く上でのアンブシュアの形はどうあるべきか」の問に関しては、おそらくどのプロ奏者、講師の先生に尋ねてもおおむね同じ説明になるのではないかなと思います。 ざっくり言えば今、音が出せてるなら「変えないで下さい」か「気にしないでください」です。 僕も、初めて楽器を吹く生徒さん、子供達に「こうしたほうが出やすくないですか?」「こうしたらどうですか?」など、話をすることはあるのですが、一旦音が出始めたのであれば、それ以降はよっぽどの事がない限りアンブシュアを変えてくださいというお話はしません。 国内外問わず、クラシック、ジャズ問わず、トランペッターのアンブシュアは様々です。一見「なんでそれで振動するの???」と思うようなアンブシュアで素晴らしい音色と音楽、テクニックを披露するプレーヤーはたくさんいます。 アンブシュアは唇の周りの筋肉によって形づくられますが、マウスピースの外側に見える状態と、カップ内の見えない部分の形状、本人の感覚、息の圧力と唇の支えのバランスなど、複雑な要因の上に成り立っています。自分の吹き方がある程度出来てしまった後で、これを修正しようと思っても、結局その要因に引っ張られて、元の形に戻ったり、調子を崩したりして失敗するケースが多いように思います。 僕自身も3度、修正を試みて、2回は失敗をしていますし、友人でも上手くいかなかったケースを見ています。 ただし、僕の場合は、大学の途中で自分の考えや先生、友人との情報交換の中である程度確信が持てて、コントロールのイメージもつかめるような段階で行った3回目の修正が上手くいったことで、奏法上の様々なストレスが解消したという経験もあるので、まったく無意味であるとは思っていません。 ただし、難易度が相当高く、リスクも大きいので、まずは今のアンブシュアで基礎練習を積んでいただいて奏法を磨いていくことに集中していただくべきだと考えます。 その結果、どうやっても解決しない。あらゆる方法を試した結果、原因がアンブシュアにあるとしか考えられず、改善の方向も見えていること、最悪、奏法が崩れることも受け入れるというのであれば、試していただいてもいいのかもしれません。(その場合は、2~3ヶ月、身体の情報に集中しながら奏法を身につける時間が必要になるかと思います。そして、合わない、ハマらないと判断したらすぐに中止していいと思います。) 直接アンブシュアについてではないですが、昔、レッスンを受けているときに先生から「オレがアンドレの音を出したいと思ったって出せない。お前がオレみたいな音を出したいと思ったって出せない。今ある自分の音を磨くことを考えろ」と言われたことがあります。僕の先生も弟子のアンブシュアに関しては修正しない主義の人で、自分の持っているものは変えず、磨きなさいという話をよくされました。 僕は今のアンブシュアに落ち着いてからは、アンブシュアに関して何かを考えたことはありません。音や奏法は練習によって変わりましたし、楽器、マウスピースでも変わりました。そうしていく中で、演奏中の写真などを見ると結果的に本人にしかおそらく分からない範囲ですが、少しずつアンブシュアは変化しています。これは、始めに書いた、息の圧力や、表情筋の発達によって、必要な力加減のバランスが変化したためだと思います。あくまで「結果として変化していっている」のであって、形が先にあるのではないと思っています。 ご自身のアンブシュアについて疑問を感じている方は、まずは今のアンブシュアで「やっていない練習」がないか、それを試してみてはいかがでしょうか。


 
 
 

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