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才能とかの話①


最近、レッスンをしていて「才能」ということについて思うことが何度かあったので、今回はそんなお話です。

レッスンに来ている学生の生徒さん、不定期でレッスンをした子達には吹奏楽部、金管バンド、オーケストラなどに所属している子も多いですが、先輩、同学年、後輩に自分よりすごく吹ける子がいるということを聞くことは少なくありません。

レッスンを定期的にやっていると、なかなか伸びていかない自分の実力と、時に自分よりも遅く始めた子が自分よりも高い音や大きな音が出せる子がいて、その子との差につらい気持ちになるいうこともまぁ聞く話で、僕もそのことに悩む気持ちは理解できます。

なんですが、こういった状況を見るたびに「それ、気にする意味1個もないんじゃない?」と思ったり話したりします。

僕も思い返してみれば、トランペットをはじめた中学・高校時代にも自分よりも簡単そうに、自分よりも上手に演奏する人たちは常に誰かしらいました。

その才能が羨ましかったり、自分にもそんな「トランペットが楽々演奏できる才能」がどこかに眠っているかもと思い、それを見つけることに必死になっていたように思います。

結論、僕の場合、その時間は意味がありませんでした。

どの分野においても「才能やセンスのある人」というのはいるものかもしれませんが、トランペットもそういった「才能」のようなものを持っているなと思う人がいます。

楽器で食べていきたいと決意して、トランペットを吹くことを続けてきた年月の中ではよく例えに使われる「みんな普通自動車や原付き乗ってる中をF1カーで…」のように、そもそも積んでるエンジンが違うとしか思えないようなプレーヤーにもたくさん出会いました。

ただ、同時に「楽器を吹くセンスがある」だけでトランペットで食べ続けていくことができるわけではないわけで、大学時代、大学卒業したばかりの頃、いろんな人からその才能が注目され、華々しく活動をスタートした人達が、10年以上月日が経った今、全員その頃の輝きのまま活躍しているかというと、全然そんなことはありませんし、人によっては楽器でのお仕事はやめてしまった人も結構います。

逆に、大学時代にはそこまで大きな注目を集めていたわけではない人、大きな才能のようなものは見えなかった人が第一線で活躍していたりもします。

そんな人達と関わることで気づいたのは、「トランペットを吹く才能、センス」はなくても別な才能があってそれを自分の武器としてしぶとく戦っているということでした。

例えば、「粘り強く考える力が強い人」がいました。

周りから見て、センスがある人というひとではなかったのですが、スポーツほどには科学的な研究もされていないトランペットで演奏することについて、自分で考え、他の人とも議論を重ねて、検証して、練習方法や楽器選びを工夫してを繰り返していくうち、ある時から急に実力を伸ばし始めて現在も活躍している人がいます。

例えば、「コミュニケーション能力がとても高い人」もいました。

その人は仕事がない時期、持ち前の人懐っこさで、業界の先輩たちと飲みに行き、小さな仕事をもらってはそこで任された仕事をこなすということを地道に続けていました。

続けていくうちに「トランペットを吹く」以外に必要な集団で音楽を作る時に気をつけること、本番で責任を果たすために必要なノウハウを学んでいき、少しづつ周りの信用を勝ち取っていきました。

結果、徐々に大きな仕事も頼まれることも増え、今でも大活躍の日々を送っています。

長い目で見ていくと、なんの才能がその人にプラスに作用するか、マイナスに作用するかなんてことは本当にわからないなと思います。

そして、「なんの才能もない人」というのもいないんじゃないかなと思います。

また、中学・高校時代に言われたり、感じたりする「才能」は少なくともトランペットに関して言えば、ほとんどのものがこの先どう転がるかわからないレベルのもので、センスがあっても磨けないまま部活引退の日を迎える人もいれば、努力で急成長して逆転できたりするようなものだと僕は思っています。

大人になると色々経験することで「才能」とか気にしててもしょうがないと思うようになるのですが、子どもたちにとっては現在進行系で起きている悩みで、先のことなんか中々想像できないとうのが難しいなとは思うのですが…。

そんなわけで、レッスンをする側としてはなるべく楽器を吹くだけじゃいその子の良さに気づいて「それ、武器になるよ」と気づいてもらったり、周りに振り回されず自分が目指すところに向かうことの大切さなんかを分かってもらうことが大切なのかなぁ、あぁ、これ難しいなぁと、そんなことを考えることの多いこの頃でした。


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