僕が中高生の頃、吹奏楽コンクールで良い成績を出すためにおそらく全ての学校で言われていたことがあります
「縦と横を揃えなさい」
縦というのは音が出るタイミングや同じ旋律を吹く人たちの動くタイミング、音の長さなど。横はピッチ(音程)のことです。
どちらも揃えれば整って聴こえ、なんとなく上手な演奏であるという印象を与えることができます。
それができることを自体は素晴らしいことですし、そのための練習をすることには技術的にとても大きな効果があります。
ただ、当時は縦横信仰が過度に持ち上げられ、これは同世代の奏者仲間からのヒアリングベースですが、ピッチに関しては正確なピッチを鳴らす大きな鍵盤とチューナーを使ってパート練習や合奏の時間を一音一音伸ばすというような練習、縦については大きな音でメトロノームを慣らしながらタイミングを合わせる練習、それだけをひたすらやる学校も多かったようです。
結果、コンクールで賞を目指す学校でそうした「縦と横を合わせること」をたくさんやったことで
縦と横が合っている=上手い(良い)演奏
という価値観を持つ子供達も出てきてしまいました。
大学卒業した頃でしょうか、ある方がとあるプロオーケストラの演奏会に行った時に前に座っていた高校生が休憩中に「結構ピッチずれてる箇所あったよね、あんまりこのオーケストラすごくないね」という話をしているのを聴いて愕然としたという話がありました。
最近はコンクールの評価基準がそれだけではないことも浸透して、そいうった価値観も和らいできているようです。
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あるアコーディオン奏者の方の動画をみていた時にアコーディオンにはイタリア式とフランス式があるという話をされていました。
アコーディオンは中に大きなハーモニカが入っていて、蛇腹を伸び縮みさせることで空気を送り、ハーモニカから音をだしている楽器なのですが、ひとつの音に対して二つのハーモニカをオクターブで鳴らしているのだそうです。
イタリア式とフランス式の違いはそのオクターブの音のチューニング方法にあるそうで、イタリア式は下の音と上の音のチューニングをきれいに揃えることでパイプオルガンのような重厚な響きがするのが特徴。かたやフランス式はわざと二つの音のチューニングを少しずらすことで発生する「不協なうねり」を発生させて不安定感を作ることで演奏時になんとも言えないフワフワとした、小洒落た響きを作るのが特徴だそうです。
また別な話ですが、ジャズには「ブルーノート」という言葉があります。
通常の音階の3・5・7番目の音を半音下げたものという意味もあるのですが、もともとはアフリカ系アメリカ人の歌い方の中に一部「半音の半音程度」音程を下げて歌う歌い方があり、その下がった音程が青みがかったような、少し影があるような印象をあたえることがルーツにあるそうです。
チューニングをすること、ピッチを気にすること、音のタイミングを合わせること、それも練習、訓練をしないとできるようにならないので大切なことなのですが、合わせることがベストな選択でない場合もありますし、すべては何をどう表現したいかのための手段であることは忘れないようにしたいなと思います。
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